新海 誠監督の『君の名は』が2016年9月に大ヒットしました。

主人公の一人が授業を受けているとき、「黄昏時」を万葉集の話で先生は説明しています。

「黄昏時」は、「夕暮れどき」であり、別名「逢魔ヶ刻」とも言われ、江戸時代からの僧侶は庶民に対して、「この世でないものと逢う」と説いてきました。映画の舞台の糸守町では、方言で「カタワレ時」、と言ったそうです。

「黄昏」の語源は、柳田國男によると、「誰そ彼(たそかれ)」が転じて「黄昏(たそがれ)」となったと言われています。

昔の人が薄暗くなってきて人の顔が見えにくくなった時に「君は誰?」といった意味で言った言葉からできたとのことです。この映画の大きな役割を果たすのが、この「黄昏」であり、大きなキーワードになります。ここからは実際に映画を見て楽しんでください。

私の住む近くに寺院があり、まさにこの時間帯に、鐘を鳴らします。なんの意味があるのかはわかりません。

昔話や仏教説話に登場するこの「逢魔ヶ刻」ですが、ちょうど昼間は、神が支配する時間帯であり、夜は魔物が支配する時間帯とそれぞれ信じられ、夕暮れどきは人々にとっては恐怖をもたらせていました。そしてこの世ではない、あの世のものと遭遇する時間帯と信じられてきました。

実は、この「逢魔ヶ刻」の概念は、日本古来の考え方のようですが、江戸時代に入ると僧侶も仏教としての教えを取り入れ、日本古来の地獄と仏教の地獄の概念をミックスして教え、仏教と日本古来のある様々な概念を融合して説話を行っています。

江戸時代の僧侶はあまり堅苦しくない説話を好んだようで、わかりやすさを全面に出し、庶民に対して仏の導きを説いたということです。

元々、奈良仏教の僧侶は今の大学生に近く、経典の解釈等をしていましたが、江戸時代になると寺請制度(後に執筆します)が成立すると、布教する必要がなくなり、当時の知識人でもあったため、わかりやすい説話が求められていました。そこでこういう怖い怪談噺もしていたのです。